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米山由子さん

味の里まつかわ代表
五平餅は、この土地いちばんのごちそう。 レシピというお土産を、持ち帰ってくださいね。

地域の食材を活かした加工品の生産グループとして発足した、「味の里まつかわ」。餅やお惣菜、漬物加工などの農産加工品製造に加えて、2020年より旅行者向けに地域の郷土食づくりを体験するプログラム「ふるさとを味わう郷土食づくり」をスタートさせました。
代表を務める米山由子さんは、県職員として生活改良普及員を務めたほか、町会議員も担った、元祖キャリアウーマン。そんな米山さんに、この取り組みへの思いを聞きました。

 

インタビュー動画(2分47秒)

農村の女性たちが培ってきた、“生活の技”に光を当てて

 

──まず、「味の里まつかわ」の成り立ちを教えてください。

 

米山由子さん(以下、米山) グループができたのは、平成14年です。平成13年に米の輸入自由化への対策補助金が出て、この農産加工施設ができました。これをきっかけに発足したのが、「味の里まつかわ」なんです。現在、町内に暮らす13名の女性のグループとして活動しています。

──主な活動は、農産加工品作りということでしょうか?

 

米山 はい。ここではもち加工、ビン缶詰、お惣菜、漬物加工、ジュースなど、7種類の農産加工ができるので、地域の食材を活かした商品作りを行っています。今人気なのは、切り餅やお漬物、もちろん簡単に五平餅が作れるセットも好評です。私たちの五平餅はお米がおいしいのと、味噌とくるみに加えてゴマも入れていて、その香ばしさがいいとお声をいただいているんですよ。

また、地域の社会福祉協議会からの依頼で、週に2回ずつ、お弁当の配食サービスも行なっています。ここのメンバーはみんな、長年主婦をやってきた女性たちなので、「いつも同じようなお弁当で飽きさせちゃいけない、どうやったら喜んでもらえるか」って、ついがんばりすぎちゃって(笑)。でもそのおかげで、一人暮らしのお年寄りの方達などにとても喜んでいただいています。

「味の里まつかわ」メンバーのみなさん

 

──地域の女性たちの知恵と優しさが詰まった活動なんですね。

 

米山さん そうなんです。漬物などの加工も、お弁当づくりも、ここでの活動はメンバーにとっては普段当たり前のようにやってきた家事の延長のようなもの。だから最初は「これでお金をいただいていいの?」なんて、みなさんすごく驚かれていたんですよ。けれどこれこそ、いま光を当てるべき「生活の技」ですよね。

私自身は、ここに来る前は県の生活改良普及員としてこういうグループを各地に作る側の仕事をしていましたので、こうした女性の仕事が地域に役立つとともに、女性たちにとってもやりがい、生きがいにつながるグループになればと思い、活動を続けています。

「味の里まつかわ」の活動は、県や新聞社等から数々の表彰を受けている

「味の⾥まつかわ」の活動は、県や新聞社等から数々の表彰を受けている

 

海はなくても、米はある。南信州の恵みが詰まった味

 

──まつかわという地域のなかで、「五平餅」とはどんな存在なのでしょう。

 

米山 一番のご馳走ですね。海がないから魚がたくさんとれるわけではない、肉もない。けれど秋になるとおいしいお米がとれる。これがこの土地の人たちの楽しみだったんです。長野県というと雪のイメージがあるけれど、長野でも南に位置するこのあたりは、寒すぎず、天竜川やその支流の豊かな水でお米がよくできたんですね。だからこのあたりは、おやきよりも五平餅。昔は「五平五合(ごへいごんごう)」という言葉があったんです。

──五平五合とは、どんな意味なのですか?

 

米山 五平餅を食べるときは、おいしくて一人五合は食べちゃうね、って、そういう例えなんですよ。ここではお米だけじゃなく味噌も作るし、くるみは川沿いにたくさんくるみの木が生えているから豊富にある。そんな、土地の恵みを活かしたごちそうを、みんな収穫の喜びのなか食べていたんですね。

子どもたちを笑顔で見守りながらも、慣れた手つきでお団子をつくる

⼦どもたちを笑顔で⾒守りながらも、慣れた⼿つきでお団⼦をつくる

 

米山 面白いのは、同じ五平餅を食べる地域でも、もちの形が違うこと。草履のような形や、四角いようなものなどいろいろありますが、このあたりは団子型が一般的ですね。「ふるさとを味わう郷土食づくり」のプログラムでは、お米をつぶしてこのお団子を作るところから、いっしょに体験をしていただきますよ。

──おいしく作るコツは、ありますか?

 

米山 やっぱり、新米で作るとおいしいですね。しっかりとお米を潰したいから、男性の参加も大歓迎です。家族やグループみなさんで力を合わせていただくと、きっとおいしい五平餅になりますよ。試食の時間には、私たちもできるかぎり、春なら山菜、秋や冬ならお漬物などをお出しして、この土地の素朴なごちそうを味わっていただけたらと思っています。

 

「おいしくできるかな?」五平餅を焼く作業もいっしょに体験

「おいしくできるかな?」五平餅を焼く作業もいっしょに体験

 

「楽しいおばあちゃんに、もう一回会いたい」そう思っていただけたら

 

完成した五平餅に、奈良漬とたくあんのお漬物を添えて

完成した五平餅に、奈良漬とたくあんのお漬物を添えて

 

──これまで体験された方などの反応は、どのようなものだったでしょう。

米山 おかげさまで、みなさんにとても喜んでいただいています。旅行者のみなさまと本格的にお会いするのはこれからですが、地域の小学生への出張授業では、「家でおばあちゃんと一緒に作ります」とか「お父さんに食べさせてあげたい」とかいう反応もあり、うれしいですね。

また、町の国際交流でアフリカやマダガスカルの皆さんがいらしたときには、「ここは緑も水も豊かで天国みたいな場所ですね」なんて言ってくださって。私たちはここに暮らしているから当たり前だと思っていることが、恵まれたことなんだなあと勉強になりますし、うれしくなります。交流というのは、こちらからばかり何かするだけではなくて、私たちもたくさん、学ばせていただいたり、元気をいただけるものだと思っています。

──どんな方にご参加いただきたいですか?

 

米山 どんな方でもいいんですよ。私たちも、もっとみなさんにわかりやすく伝えられるように、作り方や順序を工夫していきたいと思います。買ったお土産もいいけれど、五平餅の作り方を覚えて、レシピというお土産をもって帰っていただけたらうれしいですよね。「楽しいおばあちゃんたちに行きあったから、もう一回来たいな」って、そう思っていただけるような時間にできたらと思っているんです。

 

よねやま・よしこ

下伊那郡豊丘村⽣まれ。結婚を機に松川町⺠に。県職員として⽣活改良普及員の仕事に従事したのち、平成25 年より「味の⾥まつかわ」代表に就任した。じつは御歳81 歳。「今⽇も明⽇もやらなきゃいけないことがあるから、⾷⽣活には気を配っていますよ。それが健康の秘訣ですね」

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