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大場徹久さん、大場みゆきさん

甘実処おおば農園 園主/くだものカフェほうほう
一回と言わず、何度もここへ来て、 季節ごとの「農ある暮らし」を感じていただけたら。

ともにIターンの移住者同士。大場徹久さん・みゆきさん夫妻はここまつかわで出会い、現在りんご農家として日々をすごしながら「この土地で暮らす喜びを、旅行者のみなさんとも分かち合えたら」と、「農ある暮らし体験」の受け入れを開始しました。30代を人生の大きな転機とし、「ここへ来られてよかった」というお二人に、体験プログラムのモニターツアーと撮影を行ったこの日、話をお聞きしました。(2020年3月)

 

インタビュー動画(3分46秒)

「おかげさま」を実感する移住ライフ

 

──まずはお一人ずつ、自己紹介をお願いします。

 

大場徹久さん(以下、徹久) 甘実処おおば農園園主の大場徹久です。Iターンでまつかわに来て、2年修行ののちに独立し、現在4年目となります。農園作業全般、栽培から販売までを行いながら、時間があるときには妻の出店を手伝ったりもしています。

 

大場みゆきさん(以下、みゆき) 大場みゆきです。「くだものカフェほうほう」という屋号で以前カフェをやっていて、現在は夫の農園を手伝ったり、お料理教室をしたり、イベント出店などを行なっています。料理やお菓子には、夫の育てたりんごやりんごジュースを使ったり、地域の食材を生かしたものにすることを心がけています。

──お二人がここへいらっしゃるきっかけは、どのようなものだったんですか?

 

徹久 私はここに来る前は京都にある半導体のメーカーで分析の仕事をしていました。あるときから農業をやりたいと思い、このエリアにワーキングホリデーに来たのが、まつかわに暮らすきっかけになりました。

農家にはなりたかったけれどじつは、もともとはそんなにりんごって好きじゃなかったんです。でも、この伊那谷で食べたりんごのおいしさに衝撃を受けて。「りんごってこんなにおいしいんだ、これが作りたい」と思い、縁あってこの場所に来られることになりました。

甘実処おおば農園・大場徹久さん

みゆき 私は、祖父母の実家がまつかわで、埼玉ではカフェに勤務していました。自分でお店がもちたいな、と思ったときに、思い出したのが子どものころ祖母を訪ねてきたまつかわのことだったんです。ちょうどタイミングよく地域おこし協力隊の募集があり、最初は協力隊員としてまつかわに来ました。

──暮らしてみて、この土地の印象はいかがでしたか?

 

徹久 まず、りんごだけじゃなく食材全般がすごくおいしいんですよね。気候も穏やかで、暮らしやすいところも気に入っています。そしてなにより、就農をするにあたり修行先の「なかひら農場」さんをはじめ、たくさんの方にお世話になりました。中平さんには今も助けてもらっていて。みなさんすごくあたたかいし、困っていると手を差し伸べてくださる。そういう方達がいなければ暮らせなかったと感謝しています。

みゆき 結婚も、地域の方からすすめられてのお見合いがきっかけでしたし、いろいろお世話してくださったり、助けてくださるというのは私もすごく感じます。こちらの言葉で「おかげさま」のことを「おかげ」とよく言うのですが、まさに日々、「おかげだなあ」と感じることばかりです。

「思い」を伝えられて、私たちもうれしかった

 

──「農ある暮らし体験プログラム」、実際に受け入れた感想はいかがでしょう。

 

徹久 りんご園で剪定のことなどお話をさせていただきました。就農4年目のまだ未熟な私ですが、思いをお伝えしてじっくりと聞いていただけたことは、うれしかったですね。自分のふだんの仕事を改めて見直すきっかけにもなりました。

「農ある暮らし体験」のひとこまから

 

みゆき 私の方は、今日は少し肌寒かったので、温まっていただこうと思い、根菜たくさんのお味噌汁を土鍋に用意しました。それから地元の「さんさんファーム」さんの豚肉を使ったシュウマイをみなさんに包んでいただき、お赤飯にふりかけるゴマを炒る作業もいっしょに。この土地の食材でみなさんといっしょにお料理を作り、いっしょに味わって、「おいしいね」と言い合う時間がとてもうれしかったです。

シュウマイづくりとゴマ炒りのようす

みゆき それから、うちはりんご農家なので、収穫したりんごを使って生搾りジュースを飲んでいただきました。そのまま食べてもおいしいけれど、しぼりたてのジュースはなかなか街では飲めないと思うので、ぜひ体験していただきたくて。

私は、埼玉の川越で育ったんですが、ずっとこういう、自分でくだものを育てていただくとか、自分で使う調味料を手作りしたりという暮らしに憧れをもっていて。今ほんとうに、そのとき願っていた暮らしが実現できているので、幸せだなあと感じているんです。もし、私と同じようにそういう暮らしが気になるとか、覗いてみたいな、という方がいらしたら、ぜひいらしていただけたらと思います。

体験で作ったこの日のごはん

四季の暮らしと、農業の魅力を伝えられたら

 

──これからどんな風に、この「農ある暮らし体験」にご参加いただきたいでしょう。

 

徹久 できることなら、一回といわず一年に何回か来てもらえたらいいですね。なじみのリピーターさんみたいになっていただいて、四季の中でどの季節にどういう仕事がある、食の楽しみがある、っていうことを肌で感じていただけたらと思います。そして、いま離農者が増えていたり、高齢化が進んでいる農業ですが、「こんな魅力があるんだよ」と、僕自身経験を重ねながら伝えていきたいです。

みゆき この伊那谷のまつかわで、農業をして暮らすという喜びを伝えられるプログラムにしていきたいですね。「農ある暮らし体験プログラム」の受け入れはうちだけではないので、佐々木(康子)さんや牛久保(二三男)さんとも、このプログラムを通して私たち自身、もっとつながりを深めていけたらと思います。こういう体験を通して、町と少しずつつながりが深まって、だんだん好きになり、また来たいなと思ってくれる人が増えてくれたらうれしいです。

おおば・てつひさ

京都での会社員⽣活を経て、2015 年にまつかわへI ターン。修⾏期間を経て独⽴し、りんごの栽培を⾏う「⽢実処おおば農園」園主に。2016 年に妻・みゆきさんと結婚。

おおば・みゆき

地域おこし協⼒隊として、2015 年に⺟の出⾝地であるまつかわへI ターン。前職の経験を⽣かしカフェ経営(現在は休業中)や、料理・お菓⼦のイベント出店等で活躍。

⽢実処おおば農園オンラインショップ

https://ko-farm.raku-uru.jp/