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伊藤晶子さん
こだわりのセレクトが自慢。 地元に愛され続ける商店で地酒のお土産を。
町民からはあっこさんの名で親しまれる、恵比寿屋商店・3代目店主の伊藤晶子さん。愛情をもってセレクトされたお酒やお菓子の数々と、伊藤さんの明るい人柄からお店のファンも多い伊藤さんに、恵比寿屋商店さんのこだわりや松川町の楽しみ方についてお伺いしました。(2020年3月)
インタビュー動画(2分47秒)
ご縁のあった酒蔵のお酒を丁寧に、そして楽しく。
── 恵比寿屋商店さんはお酒以外にもいろいろな商品が置かれているのですね。
伊藤晶子さん(以下、伊藤) ここは私の祖母がはじめたお店で、創業してから90年くらいになります。最初はお菓子もお酒も食料品も草履もなんでもあるような、田舎のなんでも屋さんみたいなお店だったんです。一時期は専門店にしようと思った時期もあったのですが、楽しく欲望に任せて仕入れていたらこうなりました(笑)。
今は、長野県の地酒をメインにワインや地元のお菓子、厳選したおつまみを主に取り扱っています。こだわりは、すべて私が飲んで欲しい!食べて欲しい!と思ったものばかりをセレクトしているところかな。あとは、地元の学生や近所のおばあちゃんたちも来てくれるので、駄菓子やアイスもありますよ。
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伊藤さんのお母様。店内はおつまみやお菓子もずらり
伊藤 それから、ご縁のあった酒蔵さんのお酒を丁寧な管理でなるべくフルラインナップで販売するように心がけています。やはり長野県のお酒の魅力は、華やか系のものから旨味系のキレのあるものまで、幅広いこと。地元の酒米を使っているものも多く、努力の賜物ばかりです。地酒は奥が深くて面白いですよ。
作り手の思いを大切に伝える。
── 伊藤さんがこちらのお店を継ごうと思った経緯をお伺いしてもよいでしょうか?
伊藤 小さい頃から母親にスカウトされていて、最初は嫌でしたよ(笑)。20代の後半に帰ってきたのですが、それまでは京都で美術を学び、その後も東京で働いていました。最初は愛想がなくてね。でも対面販売で丁寧に売るようになってからはだんだん楽しくなってきて、良いものを選んで置きたいってだんだんと意識が変わっていきました。このおすすめのお酒を紹介するチラシも手書きで書いています。
── このチラシもとっても素敵です。
伊藤 ありがとうございます。これは季節に合わせて、2ヶ月に1回くらい発行しています。あとは定期的に試飲会もしています。作り手さんの生の声や美味しさを体感してもらい、ファンになってくれたら嬉しいなと思って。作り手さんに会うと飲むのがより楽しくなりますよね。
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伊藤さんのいつも明るく丁寧な接客は、お店そのものの魅力にもなっている
── 作り手さんにも会いに行かれるのですね。
伊藤 そうですね。酒蔵以外にもフランスにワイナリー巡りの旅に出たこともあります。昔、ワインの伝道師と呼ばれる人に来ていただき、その方にナチュラルワインについて教わったことがあって。当時、まだそんな言葉もないような頃です。フランスでは、12,3箇所のワイナリーを巡ったのですが、もう帰りのバスの中でぼーっとしちゃうくらいの衝撃で。私自身も常に作り手の方から学ぶことが多いです。
── だからナチュラルワインが豊富にあるんですね。クラフトビールも珍しいものが揃っていますね。
伊藤 クラフトビールは、一期一会みたいなところがありますよね。私はもともとビールにあまり興味はなかったんですが、お客さんから教えていただき、置かせていただくようになったんです。伊那谷でも生産者が増えてきているので、これは面白い!って思いましたね。ビールはオリジナルの素材を使って、無限にアレンジできるので、ボトルごとに個性が出ていて面白いですよね。
旅のお土産は「地酒」がおすすめ。
── 旅行に来られた方におすすめのお酒はありますか?
伊藤 やっぱり旅で来られた方には「地酒」がおすすめです。特に、日本酒は四季があるので季節ごとの味わいが感じられて楽しいですよ。あと、長野県民は鯖缶が好きだからね。鯖缶と日本酒のマリアージュもいいですよ。
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── そのほか、松川町の楽しみ方を教えていただけますか?
伊藤 商店街の人同士の仲が良いので、旅行者がふらりと飲みに行くのもおすすめです。中華屋さんも居酒屋さんもお蕎麦屋さんもあるし、ローカル色があって楽しいと思います。旅先で入る、商店街の居酒屋さんってその地域を感じられて面白いですよ。
あとは、地酒と鯖缶を持ち寄って、キャンプもいいですね。隣町のヤギのチーズも美味しいですし、最近の一押し商品のなめたけもおすすめです。店内のお酒はいろいろと試飲しているので、気軽にこんなお酒が飲んでみたい!って相談に来ていただければ、ご案内させていただきますよ。もちろん旅のお土産も好みに合わせてセレクトさせていただきます!
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いとう・あきこ
恵比寿屋商店の三代目店主。その人柄のよさと熱意で多くの酒蔵から信頼を得ている。近年はブドウの栽培から醸造まで農薬や添加物等を用いない「ナチュラルワイン」の世界にもハマり、フランスにワイナリーを訪ねる旅に出たことも。定期的に日本酒やワインを楽しむ会を主催するなど、「楽しいお酒文化」を地域に広める立役者でもある。モットーは「作り手を知ること、好きになったら“欲望に任せて”仕入れをすること」