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北沢秀公さん

清流苑 支配人
「疲れたら、松川町に行こう!」。 地元でも愛され続ける「清流苑」を旅の拠点に。

町民が皆、口を揃えておすすめする「清流苑」。お年寄りから子どもまで楽しめる様々な施設や自然豊かな温泉旅館として、多くのリピーターや地元の人々に愛され続けています。そんな「清流苑」を支えているのは、この町と宿を愛する地元の人たちのよう。今回は総支配人の北沢さんに、清流苑の魅力や今後についてお聞きしました。(2020年3月)

 

インタビュー動画(3分04秒)

子どもからお年寄りまで、楽しみ方は人それぞれ。

 

── まずは清流苑の施設についてお聞かせください。

 

北沢秀公さん(以下、北沢) 清流苑は平成4年の7月にオープンした温泉旅館です。設立のきっかけは、平成元年のふるさと創生1億円事業。当時、町民全員にアンケートを取り、町に欲しい施設の1位が温泉、2位が宿泊施設だったので、そのふたつを実現させようというのが始まりです。当初、客室は60人定員だったのですが、いざオープンすると、多くのお客様人がいらしてくださるようになり、設備を広げて今では33室、120人定員となっています。

天然温泉は眺めの良さと泉質の良さが好評

 

── どのようなお客さまが多いのでしょうか?

 

北沢 果物観光とセットでお越しいただく60代前後の方が多いですね。一番は長野県内の方、続いて、中京圏、関西圏と。ありがたいことにリピーターのお客さんが多いのも特徴かなと思います。

名古屋から1時間40分、松川インターからも車で5分のアクセスの良さも、ご好評の理由かと思っています。インターを降りると一気に山の中に入る感覚が非日常感を味わえて楽しいと言う声も、お客さまからよくお聞きします。

 

── とても広大な敷地ですが、施設内ではどのような楽しみ方ができるのでしょう……?

 

北沢 敷地内にはパターゴルフ場や一年中楽しめる温水プール、「森林セラピー基地」となっているおよりての森など、のんびりしたい高齢の方からアクティブに動きたいお子さんまで、それぞれの楽しみ方ができますよ。そのため3世代での旅もご好評いただいています。また最近の人気は、「星空ツアー」。宿の周囲を1時間くらい散策しながらスタッフが解説をするのですが、天の川や流れ星も天気が良ければすぐに発見できるので、大変喜んでいただいています。

地元に愛され続ける理由は「まつかわ人」気質!?

 

── 地元のファンも多いと聞きましたが、地元の方はどのように利用されているのでしょう…?

 

北沢 温泉もよくご利用いただいているのですが、運営や整備に関わってくれる応援団の方々もたくさんいるんです。たとえば川沿いに桜を植えてくれる方、近隣のおよりての森にもみじを植えてくれる「もみじの会」の方、蛍を守ってくれる「ほたるの会」の方、それからマレットゴルフ場の整備をしてくれる方など、本当にたくさんの地元の方に支えられています。これらはすべて、こちらから依頼しているのではなく、自発的にしてくださっているんですよ。

清流苑 支配人・北沢秀公さん

 

── 自発的に……!? なかなかそういったケースも珍しいような気がします。それも松川町ならではなのでしょうか?

 

北沢 ここに暮らす、“まつかわ人”の気質なのかもしれませんね。「清流苑祭り」や、新たなイベントの「楽宴」なども、すべて地元のみなさんが運営してくれているんです。しかもそこには地元の人だけではなく、移住者や新しいメンバーもちゃんと加わっているのがいいですよね。まつかわは、居酒屋もいつも地元の若者から年配のみなさんまで幅広い年齢のお客さんで賑わっていますし、みんなで集まって「一緒にやろうぜ!」っていう気質なのかもしれません。私は総支配人という立場ではありますが、本当に「町民の皆さんといっしょに作っている宿」、という感覚です。

「疲れたら、まつかわに行こう!」という地になれたら

 

── 北沢さんが、総支配人をされるようになったきっかけをお伺いできますでしょうか?

 

北沢 もともとは、まつかわの役場勤務だったんです。清流苑には人事異動で20代の頃に4年間関わってきました。でもね、公務員とは休みも違うし、最初はいやでしたよ(笑)。

 

それから初代の支配人が辞められたり、さまざまなタイミングが重なり、副支配人を経て約10年ほど総支配人をやらせていただいています。この場所では、子どもの頃によくデイキャンプをしていたんです。ここに清流苑ができたことによって、南アルプスの見渡せるこの景色や自然豊かな環境に改めて気がつき、いい場所だな〜と思えるようになりました。今では休みの日もなんだかんだ気になって、毎日ここにいますね(笑)。

「ほたるの会」協力によるカワニナ養殖池増設作業のようす

 

── では今後、清流苑としてどのようなことをしていきたいとお考えですか?

 

北沢 くだもの狩りや清流苑を訪れていただく以外にも、まつかわを旅する目的を作りたいと思っています。たとえばここある「森」を活かした「フォレストアドベンチャー」で楽しんでいただいたり、森林セラピー基地である「およりての森」でお客さまが日々の疲れを癒してホッとしていただいたり。森でリフレッシュできるような場所をご提供できたらと思っています。

そのために今年からは、森林ガイドを育成して森に入ってもらおうと思っています。受け入れる準備はできたので、いよいよ本格始動していきます! 

 

あと、このパターゴルフ場内も、もっと魅力的にできそうだと思いませんか? グリーンの芝の部分をフラワーガーデンのようにして、花の中でゴルフのできる環境を作れたら……などなど、日々妄想しているところです(笑)。

山々を見渡せる絶景の見えるパターゴルフ場

 

── これからがますます楽しみです! 最後に、これから松川町をどんな町にしていきたいと思われますか?

 

北沢 まつかわは大きな観光地ではないし、観光地にする必要もないと思っています。すぐそこに森があったり、果物畑があったり、川があったりするので、観光というより保養する場所というイメージがしっくりくる。日々の忙しさに疲れたら、「まつかわ行こう!南信州行こうよ!」って、ひと息つける地域にしたいですね。それが今は、一番かなと思うんです。

きたざわ・ひできみ

清流苑の支配人。地域に愛される清流苑を作り、守ってきた中心人物。また、松川町の観光を盛り上げるキーパーソンとして、近隣地域や町内の人からの信頼も厚い。